一人になりたくて…(卒婚という選択)

60代女性の一人暮らし。本が好き。

緑の散歩道

 お題「ささやかな幸せ」

 こちらに来てもうすぐ三週間になる。この頃は毎日雨が降っている。雨が小降りになると窓から空を見上げて外へ行くことにする。

 

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別荘地は山の中にあるので散歩道は平坦ではない。上ったり下りたりを繰り返す。たまにだけれど人に会う。たいていは犬の散歩をしている。「こんにちは」と挨拶が交わされる。深い緑の空気をすい込み、鳥のさえずり、セミの鳴き声を聞きながら歩く。

 いつも歩くコースは決まっていてくねくねとゆるやかに坂を下り、すこし平らな舗装道路を歩いてからまたゆっくりと坂道をのぼってくる。同じような道なので迷子にならないように、途中で遥か眼下の海を眺めるのを楽しみに歩いてきた。しかしやはり違う道を歩いてみたい。夫が以前、すこし遠くの散歩道を案内してくれたことがあったっけ。聞いておけば良かったなと思ったけれどもう仕事に行ってしまった。スマホで地図を見ても詳細がわからない。何かないかなと居間を探したら別荘地内の地図を発見。

 これならわかる。目印はペンションと、敷地内を循環して日に四本走っているマイクロバスのバス停。それから曲がり角にある動物の看板。わたしはパンダの看板の所を上っていけば帰ってこられる。という訳で雨が降ったり日差しが照り付けたりするヘンな空だったけど、行ってきた。誰にも会わなかったしマスクは不要。途中、坂道で滑って転ぶ、というおまけつき。でも全然大したことなくて大丈夫。

 いろんな家(別荘)を眺め庭や車を眺めて歩いてきた。まあまあの距離だった。運動不足を感じたらまた行こうと思う。週末には東京に帰る。いろんな用事がある。入院中の長女も退院する。そうしたらまた用心しながら会っていろんな話をしたい。夏の終わりのささやかな願い。