踊る狐
前回の記事で二ヶ月位のはてな不在と書いたけれど、その間わたしは「やってきた大好きな秋」を味わっていた。
9月から今までいくつかの美術展や文学館に行ってきた。
「南桂子展 透き通る森」
詩情あふれる南桂子の銅版画の世界。
あのお醤油のヤマサが開設した日本橋にある小さな美術館。南桂子の夫でやはり銅版画家として有名な浜口陽三はヤマサ醤油の家系だという。
地下では小川洋子さんの言葉が添えられた「書かれたい物語がひそんでいる絵」という企画展もあった。
朝早く行ったためか静かな室内は鑑賞者が他にいなくて銅版画のせかいをゆっくり堪能して、窓際の椅子で「お醤油アイス」を頂くこともできた。
次はちょっと足をのばして軽井沢へ。
軽井沢は何度も行ったが今回は千住博美術館へ初訪問。
子鹿の冒険?のような「星のふる夜に」が好き。美しい絵本を見ているようだった。
その次は埼玉の「角川ミュージアム」。本棚劇場は圧巻。岩合光昭の世界ネコ歩き展が見られたのも嬉しい。しかし、すごい人で混雑。ゴッホ展のチケットは予約していなかったがしなくて正解だった。視覚的に斬新な企画のようだが、混雑は苦手なので。
夕方になり日が落ちて隣の「どんぐりの森」へ。実はこちらが主目的。大きな光るどんぐりが幻想的で輝いていて雨だったけど素敵だった。人も少ない。
先月は三島の佐野美術館。今月は練馬美術館へ。
佐野美術館は静岡にいるとき図書館でチラシを見つけた。
帰京したけれど、機会があったのでまた静岡へ。小原古邨は明治末から大正、昭和にかけて活躍した花鳥画の絵師。かわいらしい鳥や動物が多いが、黒っぽい色彩が印象的な鳥もあり見ていて飽きない。
「踊る狐」の和紙の絵葉書を購入して、いま、玄関に飾ってある。
狐を見ているのは奈良の鹿とその背に乗る猫と、京都の伏見稲荷にいた小ぎつね。
さて、先日行った練馬美術館の「日本の中のマネ」もとても見応えのあるものだった。
日本におけるマネとの出会い。日本にあるいくつかのマネの作品。前に八王子の東京富士美術館で出会った「散歩 ガンビー婦人」とも再会した。やはり好きだと思った。
それから日本におけるマネの受容。このオマージュ作品もなかなか興味深いものだった。
絵画鑑賞には体力がいると思う。接近して解説を読んだり、すこし離れて眺めたり、歩いたり立ち止まったり、人をよけたり・・・。疲れないていどに愉しむことにしてまたこれからもでかけて行くと思う。