一人になりたくて…(卒婚という選択)

60代女性の一人暮らし。本が好き。

6月の旅

本当は春に旅をするつもりだった。九州や五島列島に行きたかった。

旅をするために日々、倹約して暮らしている。

いつでもどこかへ行きたい。そんなには出られないので、普段は地図を広げて知らない場所を歩いて帰ってくる。方向音痴なのでよく道に迷う。ちょっとした小道にひかれてつい歩を進めてしまい、帰り道を見失うことは頻繁にある。

うちを出る前に地図を見たはずだけれど、たいていは間違える。

帰り道がわからなくなったらスマホのアプリで「自宅に帰る」をタップすればよい。

でも体力がないからそんなには歩けない。歩くのも遅い。

お金がかかるからできれば乗り物に乗りたくない。

 

そういうわたしが3月に駅のホームで転んで怪我をした。

そのあと電車に乗るのが怖くなったけれど、ちゃんとまた一人で乗れるようになった。

まだリハビリに通っている。

 

それで、春の旅を諦めたけれど、だいぶ元気になったので6月の旅に行ってきた。

栃木県。行きたい!と思っていた那須の「アートビオトープ水庭」

ちょうど雨が上がり、ゆっくりと静かに散策を愉しんだ。

那須に以前行ったとき、「夢屋」というカフェに猫さんたちがいて、ガレットがとても美味しかったので、今回もお伺いした。猫さんは一匹だけになってしまい、しかもお出かけしていて会えなかったけれど、やはりガレットは美味しかった。

 

那須では2泊した。

ステンドグラス美術館や石の美術館に寄り、日光は中禅寺湖畔の英国大使館別荘記念公園などにも行ってみた。

帰り道は若竹の杜「若山農場」へ。

だいぶ元気になったとはいえ、まだカートをひいてあちこち歩いたり混雑する駅の階段を上り降りするのは無理。というわけで、夫が車を出してくれた。

怪我をして以来、助手席ではなく、後ろに乗れば良くなったので実はありがたい。

隣に座ると、話をしなければならない。わたしは声が小さいし夫は耳が遠い。

それでも夫は話がしたいから、話しかけてくるので一生懸命声を出して頑張っていた(つもり)。後ろに座っていれば黙して心ゆくまで外の景色を楽しめる。有り難い。

 

そういう6月だった。夫はすぐに静岡に戻り、わたしはまたいつもの気ままな一人暮らし。予定がない日には相変わらず地図を広げている。懲りずにまた道に迷うだろう。