一人になりたくて…(卒婚という選択)

60代女性の一人暮らし。本が好き。

試練

引っ越しは完了した。

そして、まさにその当日夜、身内の訃報が届いた。

あまりに突然のことだった。心身がついていけなかった。

昨日で二週間経過した。

「だいじょうぶか?」と家族がみんな心配してくれる。

関わりのあった人たちに知らせなくてはいけないのにまだしていない。

でも甥っ子がすごくがんばっている。彼を頼もしく思う。あんなに小さかったのにおとなになったんだね。いろいろちゃんとしっかり対応している。すごい。

 

 引っ越し前後は静岡から夫が手伝いに来てくれてとても助かった。

今回初めて「おまかせパック」というのを利用した。本部屋とキッチンのみ。いつ来てくれるのかと思ったら当日だった。スタッフ三名のうち若い女性がひとりで梱包していった。一目見るなり「これは見積もりオーバーになります」と言われ、あらあら話が違うじゃないのと思ったけど、仕方ない、何しろお任せだから。

 近隣引っ越しなので二往復して昼過ぎから夕方までかかった。スタッフが帰りお茶でも飲もうと思ったが食器がどこにあるかわからない。宝探しじゃあるまいし、ダンボールの山をかき分けて次々開けて夫と探した。客用の湯呑を発見したのでそれで良しとした。

 あとで気がついたんだけどどうして食器も本も服も雑貨も靴も、全部一つの部屋に積み上げていったんだろう。せめて本の山、食器台所用品、と分けてくれればよかったのに。早く終わらせたい感じでどんどん作業が進んでしまい隣の部屋にいたわたしに声がかけられる事はなかった。

 

 夫も帰り、ひとりになり、身近な喪失に呆然としながらもとりあえず数日後、野菜スープでも作ろうとしたら、包丁は見つかったんだけどまな板がないのだった。人参、玉ねぎ、じゃが芋、を並べてから気がついた。仕方ないのでダンボールをビリリとちぎり、キッチンペーパーを敷いて代用した。まな板は百均でゲットするまでずっとそれだった。キャンプみたいだった。

 りんごのマークの引越し業者は「アンケート全公開」とネットにあった。数日後アンケートに困ったこと、気がついたことを記入して後で見たら紙記入の場合は写メで公開している。ネット回答の場合は「ネット完結」となっていて閲覧できない。疑問がちらつきメッセージしてみた。メッセージはきちんと個別に対応してくれる。引っ越し前の見積もりの段階から対応は丁寧だった。

 メッセージ欄に「アンケートへの対応はないのですか」と書いたらすぐに責任者から電話があった。本の箱の下に食器の箱を置くなどあってはならないこと、と謝罪され見積もりオーバーしたぶんは返金されることになった。(こちらからは要求していない)

 そんなわけで・・・・二週間が経過した。

前のマンションより狭いところに来たので、収納が足りず、毎日ネットで収納グッズを探している。それでも一人暮らしには充分な広さがありとてもきれいなマンションでバス停が目の前にあるので便利だ。

 長女が、先日、美味しいお弁当を買ってきてくれた。荷物の整理も手伝ってくれた。

誰かと話し、何かを思い出すとき、まだ涙がでる。でもたぶん慣れる。

 

引っ越しと訃報が重なったこの冬の出来事はきっとずっと忘れないだろう。