一人になりたくて…(卒婚という選択)

60代女性の一人暮らし。本が好き。

メルカリ初心者

 どうしたのかと思うほど服が多い。理由と言い訳その1、買い物で発散したい気分だった。その2、パート仕事の帰りのバスを待つ間、駅ビルをふらふらしていた。その3、収納場所が三か所にあったので、買ってもどこかに入る。そして買ったものを見失う。                  前の家には最初、主婦の部屋はなかった。

 子供が自立するのを待って、子供部屋に嬉々としてじぶんの居場所を作った。まず本を運び、次に洋服を運んだ。最初に出て行った長男の部屋にはまだ彼の物が残っていたが空きスペースはちゃんとあった。まず、そこがわたしの部屋となり収納場所も確保した。次に姉妹の部屋に空きが出たので押し入れ箪笥の幾つかも利用した。さいごに長女の部屋(かつてはわたしの父の書斎)がスッキリあいたので、そこは完璧に自分の部屋となった。文学館で入手したポスターを貼り、カーテンを替え、パイプベッドで愛猫と眠った。 ただ、そこはチェストがあるだけで服をしまうのは作り付けの洋服ダンスのみ。それでもまあまあの収納スペースだったと思う。

 かくして、わたしが節操もなく買い集めた服たちは息子の部屋、かつての姉妹部屋、そして自室、と三か所に分散され、持っているのに分からなくなって同じような服(もちろん安物やセール品)がどんどん増えていくことになった。

 引っ越しをすると決めた時には憂鬱になるくらい、じぶんのしでかした事を顧みた。

でも、引っ越しをしたい!という気持ちが強かったので意を決して取り掛かった。気に入っていた服もだいぶ古くなっていたしサイズも合わなくなっていた。がんばってだいぶ処分してようやく先が見えてきたかと思ったとき、夫が「俺の部屋の天袋にママの昔の服が大量にあるよ」と言いだした。そうだった、忘れていた。若い頃にきていた昭和のワンピやスーツをしまい込んでいたのだった。これは写メして娘たちに送ると反応が良く、やがて見に来てそれぞれ持ち帰ってくれて嬉しかった。

 棄てられないけどいらないもの。服やバッグ、すごい数あったが次女が大体引き取ってくれた。これはいらない、もしかしたらリサイクルショップで引き取るかも、というものもあった。そうしてだいぶ減らして引っ越してきたつもり。なのに服はまだまだある。整理しながら次女が来た時に見て貰っていた。彼女はメルカリを活用している。

 次女となかなか会えなくなった。山梨から車で来てくれることも少なくなった。それでは、この際、じぶんでメルカリを始めてみよう!と思った。始めてから彼女に言ったら「え~、紹介するとポイント貰えたのにー」と言われてしまったが…。でも分かったことは「簡単にお小遣い稼ぎ」になるわけではない、ということ。もし出品したものが売れてもヤフオクみたいに口座に入金されるのではなく、「メルペイ」となる。現金化するにはまたお金がかかる。だからメルカリで売れたらメルペイになるからそれを使って今度はメルカリで買いものする、という仕組みらしい。

 何もわからないままいきなり始めてしまったら、格安で帽子が売れた。「簡単メルカリ便」を選択していた(よくわからないまま)。動画を見て予習する。梱包してコンビニに持って行けばよいらしい。ドキドキしてコンビニに行った。実際は「コンビニに行ってレジに出すだけ!」なんかじゃなかった。スマホを見せてレジに出すと伝票と封筒みたいのをくれる。もたもたしていたらレジの女の子が「これホントはお客様がやるんですよ!」と言ってそれをピッペタッと商品に貼りつけてくれた。ふー、わかれば確かにカンタン。宛名も書く必要ないし、こうしておばさんのメルカリ体験がスタートした。