オオカンザクラ咲いて散る
静岡に来て一週間近く経った。毎日静かに日が過ぎて行く。日帰り手術を終えた夫は元気だけれど外出は禁じられているので、わたしは一人で散歩に出かける。
歩いても歩いても高原の別荘地。どこかへたどり着けるわけではないのでぐるぐる歩いて坂道を降りたり上ったり、海を眺めたりして戻って来る。
病院はとても遠い。車の運転も禁じられたので、当日はシャトルバスで最寄りの駅まで行きそこから列車を乗り継いで修善寺方面まで行った。夫の日帰り手術を同じように待合室で待っている女性と話をした。三島から来ている。彼女が運転してくるそうだ。それなら問題はない。
わたしたちは手術後翌朝の診察が早いので、近くの宿に泊まることにした。そこで小さなハプニングがあった。夫がコーヒーの入ったカップを盛大に倒してしまったのだ。大慌てで拭きまくった。大半は床に溢れたけれど、もろに被害を被ったのがわたしが持参した本だった。しかも図書館から借りた本。
本についたコーヒーのシミは容易に落ちない。図書館に電話をして事情を話し、弁償する事にした。
浅井まかて著「白光」。日本初の女性イコン画家、山下りんの生涯を描いた長編小説。わたしはこの聖像画を見てみたいと思いたち昨年、秋田のハリストス正教会へ行った。信仰を持たないわたしが「イコン画」というものを知るきっかけとなった。
「白光」は東京の図書館に予約したが50人ほど順番待ちだった。伊東図書館では0人だったのでラッキーだった。わたしのあとも予約者がいないので急がなくて良いので一冊購入して持ってきてくださいとのこと。すぐにネットで購入し(夫に払ってもらった)今は手元に二冊ある。
明日はまた通院。あと二回位付き添ったら東京へ帰る。図書館に寄って帰ろう。
読書と散歩の日々もまたいい。オオカンザクラもだいぶ散ったけれど春はすぐそこ。
ダークチェリーパイ
カルチャーセンターに一年通った。本当は今月25日が最終日なのだけれど、病院付き添いでまた静岡にいくからその日は欠席。なので今日が最後となった。初チャレンジの木彫りは楽しかった。先生といろんな話もした。(隣に座って教えてもらいながらポツポツと詩歌や絵や植物や家族の話まで、たくさん)
先輩のご婦人方は何年も通い続けておられる方が多い。素敵な作品を見せていただくのも嬉しかった。ゆるく長く続けていければそれでよく、それぞれのペースで好きなように取り組んでいた。やめる必要はない。もう少し続けたかったと思う。彫刻刀を持つのは好きだし、ようやく多少は彫れるようになったところ。
しかし・・・。お金がかかる。受講費、材料費、その他。僅かな年金と僅かな預金で暮らしているわたしにはちょっと厳しい。
考えた結果、一年という区切りの良いところでいったんやめることにした。
機会があったらまたやってみたいし、チャレンジしてみたいことはまだまだたくさんある。仕事、またなにかみつけようかな、という気持ちもいつもある。でもこの一度手に入れたのんびり生活から抜け出すのはちょっと勇気がいるかも。
すこしさびしい気持ちを抱えながら吉祥寺で買い物して帰ってきた。
紀伊国屋で大好きなダークチェリーパイを買った。ふだんは買わないちょっと高いパン。一年間がんばったじぶんへのプレゼント。おやつに食べようと思っていたのにおやつ時間にお腹がすいてなかったので、あしたに持ち越し。あしたの朝に食べよう。
そういえば先日、長女が「誕生日祝い、遅くなってごめんね」と言って、いろんなプレゼントを持って来てくれた。
いちごのタルト!とっても美味しかった。お花は時々水をあげてまだきれい。
今は玄関を飾っていて、ひとり帰宅するわたしを迎えてくれる。
展望レストラン
クロームブックを持って静岡に来た。
一週間経ち明日は東京に帰る。
居住地の図書館で予約しておいた本の順番がようやく来そうなのに用事があって都内を離れなければならない、から借りに行けない、という悲しい思いを昨年したので、今回は予め伊東図書館に読みたい本を予約しておいた。
ありがたいことにこちらでは順番待ちがあまりなくすぐに借りられる。
図書館まではとても遠いけれど、わりあい近くのコミュニティセンターにブックポストがあるので読み終わったらそこに入れる。このブックポストが錆びついていて寂しげでとても心もとない。そっと本をいれるとガコンと悲しい音がして「本、大丈夫かなあ」と心配になる。
でも2日くらいしてから図書館のホームページでマイメニューを確認するとちゃんと回収されて本館に戻っていったことがわかる。ホッとする。
夫の病院がある日は(とても遠い)付き添って検査を待ったり、一緒に説明を聞いたりした。それから医療費関連の用紙をもらうため、昨日は伊東市役所まで行った。
そこの食堂がオススメだよ、というので昼時に行ってみた。そうしたらなんと!ほんとうに素晴らしい8階の展望レストランだった。窓際の席からは相模湾が一望できる。船が見えたりもする。ランチは洋定食というのを頼んだらメインの酢鶏に選べる小鉢が2つあり、すごいボリュームだった。カウンターで受け取るときご飯を半分に減らしてもらった。景色と料理にビックリしながら食べていて、あとから「写真撮っておけばよかった」と思ったりしたが、観光施設ではなく、なんといっても役所なのでちょっと考えものかも。
明日は海が見える列車で帰る。金曜日から何かと用事がある。そして来月にまたここにくる。クロームブックを持って、本を予約してくると思う。
三回目はモデルナで(結果)
市役所にワクチン接種に行ってきた。去年見かけたときは外にまでたくさんの人が並んでいた。今回「並ぶスペースが限られているので早く来すぎないように」と書いてあったから15分位前に行った。
市役所へは歩いて20分位、バスだとすぐだけどバスは1時間に2本しかない。朝で寒いのでバスで行き早めに着いたので近くをうろうろしてから行った。
そうしたらなんと、すぐに受け付けしてくれてすぐに呼ばれた。モデルナはすいている、というのは本当だった。前二回のあとの様子、むかしの手術の話などして「めまいが心配なら寝て接種しますか」と女医さんが聞いてくれたけどそれほどではないので普通に受けた。病院では広い場所にずらりと椅子が並び、先生がキャスター付きの椅子で順々に(流れ作業のように)打っていったがここでは個別になっていてなんか安心。
その日の夜、眠くてしかたないのでお風呂はやめて顔だけ洗って寝ることにした。
だけど寒くて寒くて眠いのに眠れない。冷え性なのでレッグウォーマーに靴下プラスしたりする。末端まで血が巡らないのか足先だけでなく指先が冷たくて手袋までした。
暖房のタイマーが切れる音を夜中の2時に聞いたあとようやく少し眠る。明け方4時に目覚めたら今度は体中があつい。熱でたのかなーと思いつつ体温計を探してみるが寝ぼけていたのかスイッチが入らない。あれ、電池なくなったんだわ、と思いつつまた眠った。
翌朝、やはり頭痛はある。体温計はきっちり押したら電源が入った。微熱程度。倦怠感もめまいもなく、何より腕の痛みが軽い。前回は腕が上がらないくらい痛かったのにやはり薬液が少ないからか。
結果としてはモデルナで良かったと思う。副反応の出方は個人差があるだろうから一概にはいえない。でも喉が弱いじぶんの場合、もしこれから喉が痛くなっても風邪か花粉よね、と思うことができる。安心感はとても大事。
今日は雪が降っている。明日は行けたらカルチャーセンターに行く。土曜はちょっと友人がくる。月曜はササッとヨガへ。どこも感染対策はシッカリしてるし今は利用者がとても少ないので人はまばら。。。静岡へは行きは夫の車が迎えに来るので帰りの切符をえきねっとで予約した。
三回目はモデルナで
三回目のワクチン接種券がきたのでネット予約した。前二回ファイザーワクチンを接種した近くの総合病院には空き枠がなく、3月初旬に違う病院でファイザー製を予約した。
でもその夜考えた。夫の通院に付き添うため今月中旬には静岡に行く。眼科の精密検査なので付き添いは必ずいる。だいぶ前に予約してあった。
やはりその前に予防接種は済ませたほうがいいのではないか。
予約するときに見たところ、モデルナ製ならやはり空き枠がたくさんあった。
行きたい近くの病院はないが市役所まで行けばよい。
異物混入事件とか、副反応とか、、もちろんいろいろな考えが頭をよぎった。
同時に、秋冬から花粉の春までずっといつもいつも喉が痛くなりやすいことを考えて不安な日々を過ごすことも思った。昔から喉が弱い。のどぬーるスプレーは市販品常備しマヌカハニーのスプレーも切らさず、喉のための医療器具っぽいのもあり、トローチやのど飴はいつもバッグに・・・。加湿器はじぶんがいるところの近くに必ずある。
だから今回のオミクロンの症状に喉の痛み、と聞いたときは「!」と思った。
なるべく静かにうちにいる。必要な時しか外出しない。散歩と読書の日々。
いろいろぐるぐる思案した結果、予約をキャンセルして取り直すことにした。
前二回のとき辛かったのは一回目のめまい。あとは接種部位の痛み、頭痛で、熱は出なかった。どういう副反応が三回目で出るのか少しは心配だけれど、たぶん大丈夫。
長年ひどい片頭痛と共に生きてきたので対応できる。当日と翌日はごろごろしていればよい。一人だから何もしなくていい。食べるものだけ買っておこう。
来週中にそれらを済ませて再来週には新幹線で静岡に行き、必要であればしばらくいようと思う。持っていく本のことを考え始めている。
パンが好き
公園の裏手を散歩していたらかわいい店があることに気がついた。
ちょうどお昼を何にしようか考えていたのでラッキーだった。
サバと塩レモンというのとキウイとカマンベールというパンを買った。
パンが好きだからあれもこれも食べたいし美味しそうなパンたちの前ではいつも迷う。あれもこれも食べたいけれどそんなには食べられない。流行りのフルーツサンドに出会ったりするとクラっとするけれど我慢する。(食事とは違う気がするし、生クリームのインパクトがすごい)
見つけた店は店主さんのお名前に「かぶと」とつくのが由来らしい。パンは2日に分けて食べた。美味しかったけどやっぱりちょっとボリュームがあった。
結婚する前の家の朝食はご飯だったので、わたしはいつも翌日の自分のパンを買って帰った。もっと小さい頃はまだパン屋さんが珍しく、歩いて数分のところにお菓子とパンを売る店ができて日曜日の朝はそこへおつかいに行った。 ぼんやりした子だったので単独はムリでたいてい3つ上の兄が一緒だった。
角にあるからか「カド」と呼んでいてそこへ兄と行くのは楽しかった。
何枚に切る?と毎回聞かれていた気がする。もちろん兄がちゃんと答えていた。目の前のスライサーで切られていくパン! その頃からわたしはきっとパンが好きになったのだ。(ちなみに兄は子供の頃食べた甘食が今でも好きらしい)
一ヶ月に一度くらい府中方面に行く。西国分寺経由で行く。その日は駅ビルに入っているサンジェルマンに寄ってイートインでお昼にする。やはり目移りするほど美味しそうなパンがあり、迷うので「ピザトーストセット」にする事が多い。焼き立てピザトーストにコーヒーがついて660円くらいなので安い。量がちょうどいい。チーズと少量の野菜がとれるから朝はあまり食べていなくても満足感あり。
サンジェルマンは杉並で仕事をしていたときも駅前にあったからよく買った。スタンプを集めて食パンをもらった記憶がある。
バスが好き
わたしは列車も好きだけれど、とにかくバスが好き。座っているだけでどこか見知らぬ町に連れて行ってくれるからむかしから好きだった。好きだけれど、見知らぬ町で迷子になって途方にくれる夢もなぜかよくみる。
バスにさえ乗ればどこかへ行ける。どこかに着いたら今度はどうにかして(電車でもいいから)帰ってくればよい。ところが夢の中ではどんどん知らない場所に行ってしまう。バス停で呆然としたり、知らない駅で心細く時刻表を見上げたりしている。
夢の中ですこし焦ったりしていて、そのことは目覚めてからも覚えている。
いつでもどこかへ行きたいと思っているから、バスや列車に乗るのはやめられない。
迷子になって途方にくれている夢はきっと見続けると思う。
ところで先日、用事で京橋に行った。地下鉄利用。用事が済んでふと見たらバスがいた。飛び乗る女性もいた。いくらわたしでも都会で行き先不明のバスに飛び乗るほどの勇気は持ち合わせていない。でもそのバスはガランとすいていて何故か魅力的に見えた。それでスマホで調べてみたらすごいことがわかった。
そのバスは「メトロリンク日本橋」といって八重洲、京橋、日本橋地区を結ぶ無料の!巡回バスだったのだ。無料?! しかも10分おきにくるらしい!
もちろん、10分後に乗車した。乗ってみると、ピンポンがない。停留所には必ず停まる。乗降する人がいるいないに関わらず。わたしは都会の車窓を楽しんだあと、東京駅で降りた。もう地下鉄ではなく、中央線で一直線に帰ればよく、上機嫌だった。
さて、明日は久しぶりに長女に会える。駅まで迎えに行き、バスでうちに来る。
彼女は障害者手帳を提示してバスに乗る。わたしが一緒のときは「介護者一名」となり割り引きされる。確かに介護が必要なときもあったかもしれない。いまはどうなのか客観的には微妙というか、、、外見上はどこにでもいる女の子なのだけれど、、まあ、わたしは母親なので、必要であればなんだってする。そういう意味では正しいのかもしれない。
バスに乗るのが好き。
ひとりでも娘と乗るのもいい。でも見知らぬ町で途方にくれる夢はあまり見たくない。